こんにちは。
疾風怒涛(笑)のお盆も無事終了し、
社長が読み終わった本が事務所内に置いてあったので、
作者の最終あとがきに、
「この物語を世に送るに際して、ぜひ読者のかたがたにお伝えしておきたい
ことがある。それは、この作品が、どこまでも小説である、ということだ。
この作品は、典型的な稗史小説である。正確な伝記でもなく、
格調高い文学でもない。」
と断りを入れざるを得ないほど、高名な人物を主人公にした物語です。
日本中の新聞各紙に連載されただけあって、読者を飽きさせない工夫に富んだ
痛快無比の内容で、一気に読み終えることができました。
中世鎌倉時代の人物たちが次々と登場し、織りなす人間模様は現代社会で
充分に考えさせられる内容でした。
橋本峰雄という哲学者であり鹿ケ谷法然院の貫主さんだった人がいます。
その人の「くらしのなかの仏教」という本の中にこんなことが書いてありました。
『高橋和巳が「文学と宗教」にかんして語ったところに、「巨視的、
大きな人類史的観点に立てば、文学は最初、宗教に奉仕し、
つぎに宗教から自由になり、やがて逆に宗教を包摂するにいたるであろう」
文学と宗教の関係の歴史的な見通しにかんしての指摘である。』
宗教離れが叫ばれて久しい現代にあって、この小説を読み終えたとき
即座に思い出した文章でした。
もちろん私には難しいことはよく解りません。
登場人物の構成などに、多少の違和感を感じる方も居られるかもしれませんが、
面白楽しく考えさせてくれる、素晴らしい小説でした。(ちょっと涙もでた ^^;)